library-1147815_1280

仏教を思想・哲学として学びたいと思い、分かりやすい本を探していたところ、
この本に巡り合いました。
服部祖承さんの著書「ブッダの教えがわかる本」です。
服部祖承さんは平成17年に遷化されたお坊さんです。
黄檗宗自敬寺というお寺の住職を務められたあと、布教活動も積極的に行われていました。

ほとんど人は仏教との関りは葬式ぐらいだと思っていますが、本来の仏教はそうではありません。
それでは本書のエッセンスを見てみましょう。

仏教、ブッダの教え、その根本は何なのか?
それは「自己の探究」ということ。
「我」という人間はなにものなのか、人間の苦とは何か、喜びとは何か、その「自己を知り、掘り下げる教えが仏教。
お釈迦さまは、祈れとも、拝めとも、まじないをしなさいともおっしゃっていません。
ただ「おのれ自身をたずねよ」とおっしゃっている。

お釈迦さまは、人間の生命を大切にしました。したがって、人生の正しい見方、正しい生き方、欲望とは何か。欲望に引きずり回された生活が、いかに恐るべきものか。生とは、死とは、老いとは何か…と掘り下げていくのです。

財を追い、力を追い、欲に追われて、自分を忘れがちな私たちのために、
「自己の本性を明らめよ」と呼びかけているのが仏教なのです。

おさえておきたいブッダの教え

・七仏通誡偈 … 過去の仏たちが皆共に大事にした戒めの言葉
・仏性    … 「一切衆生悉有仏性」 生きとし生けるものはうちに如来(仏性)を宿している
・四諦    … ①苦諦 ②集諦 ③滅諦 ④道諦 … 悟りの道への四つの真理
・八正道   … ①正見 ②正思惟 ③正語 ④正業 ⑤正命 ⑥正精進 ⑦正念 ⑧正定
・諸行無常  … この世のものは、すべてうつりかわる
・諸法無我  … すべてのものは、因縁によって生じたものであって、実体性がない。
・一切皆苦  … この世のすべてのものは苦であると感ずること。
・涅槃寂静  … 煩悩や束縛から脱して、俗世間の憂いのない安らかな心境に到達すること。
・六波羅蜜  … 迷いの世界(此岸)から悟りの世界(彼岸)へ渡してくれる六種類の実践行のこと。
         ①布施波羅蜜…与えること。損得を考えず、相手の幸せのみを考えて施す。
         ②持戒波羅蜜…五戒守ること。(不殺生・不偸盗・不邪淫・不妄語・不飲酒)
         ③忍辱波羅蜜…苦しみに耐え忍ぶこと。
         ④精進波羅蜜…たゆまず努力すること。日常生活において実践を試みる。
         ⑤禅定波羅蜜…精神を統一すること。心静かに考える習慣。
         ⑥智慧波羅蜜…物事の道理を悟り是非・善意をわきまえる智慧を得ること

この本は仏教思想・哲学を理解する上でこれからも繰り返し読みたい本です。

ブッダの教えがわかる本 (仏教を学ぶ) [ 服部祖承 ]
ブッダの教えがわかる本 (仏教を学ぶ) [ 服部祖承 ]